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  • 尻の症状

疫学:坐骨神経の支配領域に沿って疼痛やしびれなどが見られる病態。
原因:糖尿病、ビタミン不足、重金属中毒、椎間板ヘルニア、変形性椎弓間関節症、脊椎分離症、脊椎すべり症、脊柱管狭窄症、前立腺腫瘍、子宮内膜炎、股関節脱臼、骨盤骨折、骨盤骨腫瘍、外傷、梨状筋症候群など。
一般的な治療法:原疾患があればその治療を優先する。鎮痛消炎剤や筋弛緩剤、ブロック注射などによる薬物療法など。
当院の治療法:器質的疾患が無く、いわゆる梨状筋症候群のように臀部の筋肉が坐骨神経を圧迫しているような病態であれば、当院では簡単に治すことが可能です。大腿を内旋(まっすぐに立ち、足を内側に回転させる)して痛みやしびれが増悪する場合は、梨状筋症候群の可能性があり、鍼灸治療が適応します。ヘルニアや腫瘍など、腰椎に器質的な異常が見られる場合は、基本的には鍼灸治療では治せません。 
 

当院で最も治療成績の良い病態の1つは、臀部痛および殿筋のコリです。ほとんどの患者様が1~5回程度の施術で完治するか、劇的な変化を感じることができます。特に殿筋側面(小中殿筋付近)はフォンフォッホシュテッター三角と呼ばれ、大きな神経や血管が通っていないため、安全かつ効果的に刺鍼できます。
 
臀部の痛みやコリは、特には医学的に病名が付けられることもなく、レントゲン上でも器質的な異常がみられにくいため、病院で受診せずに放っておく患者が少なくないようです。しかし、実際には殿筋上部のコリから腰痛がでたり、殿筋中部または後面下部から下肢後面にかけて違和感やしびれがでたり、殿筋側面部から下肢側面に痛みや違和感が出ることがよくあります。実際、中殿筋には片足立ちになった時、体重の5-6倍の荷重がかかるとされ、殿筋全体においても最も癒着が起こりやすいポイントです。また、臀部は脂肪および筋層の厚みが6-10cm程度に及ぶため、指で押したり、テニスボールなどでゴリゴリしたり、灸を据えたり、赤外線で温めても、最深部のコリや癒着を完全に取り去ることは物理的に不可能です
 
殿筋のコリは放っておくと、筋肉の癒着や張力、萎縮、局所的虚血などが、周囲の組織の代謝を悪化させ、いずれは股関節の異常や大腿骨頭、臼蓋などの変性を来たす可能性があります。また、すでに変形性股関節症や先天性の股関節症、股関節脱臼などがあった場合、刺鍼しても中々改善が見られない場合があります。したがって、殿筋に異常感がある場合は、早めに刺鍼しておくことで、QOLを大幅に改善し、股関節の寿命を延ばすことが可能となります。